没後三十年 憂国忌の御報告

 平成12年11月25日、九段会館は熱狂的な三島ファンに取り囲まれ、「没後三十年 憂国忌」は厳粛ななかにも盛大におこなわれ無事終了いたしました。これも皆さまのおかげです。


没後三十年 憂国忌
平成12年11月25日(土) 東京・九段会館(大ホール)
13:00開場 BGM=ワグナー「トリスタンとイゾルテ」、三島由紀夫肉声
14:00開会 総合司会=井尻千男・南丘喜八郎
開会の辞=篠沢秀夫
【第一部】
14:05鎮魂祭(斎主=高山亨…乃木神社宮司・祭員=乃木神社神官・伶人=乃木雅楽会)
先 修祓の儀
次 招魂の儀
次 献饌の儀
次 斎主祭詞奏上
次 追悼文奉読=竹本忠雄
次 辞世吟詠=横山精真(岳精流宗嗣)
尺八伴奏=奥山林山(都山流尺八師範)
次 玉串奉奠
次 撤饌の儀
次 昇魂の儀
次 退下
14:55檄文朗読=野間健
15:05休憩
【第二部】
15:15第二部開会の辞=村松英子
15:20記念講演 西尾幹二 「大学紛争から三島事件へ」
16:20追悼報告
桶谷秀昭 「戦後思想史と三島由紀夫」
松本徹  「三島由紀夫研究のいま」
追悼挨拶=中村彰彦・嘉悦康人・小室直樹・藤井厳喜・玉利齋
17:20閉会の辞=石大三郎
 過去30年の憂国忌が大雨、嵐に見舞われたのは2回だけで、この日も全国的に好天にめぐまれた。準備は明け方から始まり、午前9時には主要な裏方が50人、突貫の舞台作りが急がれる。
 11時半の打ち合わせは百人を越える実行委員がほぼ揃い、献花用の白菊などが次々と運び込まれた。当時学生だった三島研究会OBたちも白髪が目立つ年代だ。しかし、若い現役学生がどこから駆けつけてくれたのか50人近くが、自然発生的に集まり、黙々と作業を続けた。
 この頃から全国から上京、駆けつけるファンが並びはじめ、販売書籍を売る出版社関係の人たちも到着。一方、楽屋には司会の井尻千男、記念講演の西尾幹二、祭主をつとめる竹本忠雄、代表発起人の篠沢秀夫、桶谷秀昭、松本徹、猪瀬直樹、小室直樹、村松英子氏らが続々と到着され、和やかに打ち合わせを開始した。裏方の説明も、円滑に進み、また会場は、あの30年前の、緊張し激高したような空気はなかった。事件直後のマスコミの批判も、いまとなってはウソのように、静かに、参加者は開会を待っていた。
 プログラム通り、午後2時。憂国忌開会の辞は学習院大学教授の篠沢秀夫氏のよって読み上げられ、厳粛な中に修祓式、途中で竹本忠雄氏が念入りに執筆された長めの祭文を清澄なリズムのなか、朗々と読まれる。会場はシーンと寂寞を極め、全員の想いが招魂の儀式会場を支配した。つづいて発起人の玉串奉奠、韓国から駆けつけたジャーナリストの池東旭氏、病をおしての石堂淑郎氏、文藝評論家の山崎行太郎氏、英語の三島評伝を執筆中のアンドリュウ・ランキン(サーカス、孔雀などの訳者)らが奉奠、最後に全参会者を代表して山田美加さん。参会者全員が起立した。
 特に目立つのはこの4−5年の憂国忌に若い女性らの積極的参加ぶりである。全体の三分の一がこれら新しい年齢の若者たちなのである。
 休憩ののちの第二部は翌朝の新聞でも報じられたように女優の村松英子さんからはじまり、写真ペイジに紹介した先生方が熱烈に三島文学、哲学、思想などについて蕩々と語りかけたのだった。
 時間は予定を一時間近くも超過して第二部は終わった。このあと直ちに全員の献花が行われ、遠方の参加者は汽車や飛行機の時間を気にしながらも、購入した書籍に著者のサインを求めたり、三島研究会への入会手続きをとる人もいたりで、興奮はなかなか冷めやらなかった。
 こうして没後30年の三島由紀夫追悼会「憂国忌」は無事に終了した。

祭事
開場の2時間前

開場の2時間前からみなさんが辛抱強く待っていた。
だが九段会館は1300名収容なので、全員が入場出来た。


発起人

修祓式には玉串奉奠のため発起人がずらり並んだ


発起人

控え室の打ち合わせ風景 多くの発起人が一同にそろった
中央右から篠沢秀夫、村松英子、小室直樹、池東旭、植田剛彦の各氏(後ろ向きは井尻千男氏)


井尻千男氏 中村彰彦氏
小室直樹氏 村松英子さん
西尾幹二氏 桶谷秀昭氏
松本徹氏

写真説明・左上から時計回りに。司会にたった評論家の井尻千男氏。三島の恩師について秘話を披露する中村彰彦氏(卒論はちなみに三島由紀夫論であった)。「このままでは日本は滅びる」と小室直樹氏。「私は三島先生に巡り逢えて、二人生をすごせました」と村松英子さん。戦後思想史における三島氏の巨大な存在について語る桶谷秀昭氏。「三島研究のいま」と題して文藝評論家の松本徹氏。記念講演は西尾幹二氏が「大学紛争から三島事件へ」と題されて70分の熱弁。


会場内

会場は満杯御礼を出すほどの人出になった

献花

最後に参加者全員が白菊で献花した

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